単色塗は、胡粉塗・黄土塗・緑青塗に代表されるような「彩色文様を施さず、単色の絵具で仕上げる技法」です。
建造物では羽目板・化粧裏板の胡粉塗、木口の黄土塗、連子の緑青塗が代表的です。胡粉塗と丹塗は、各地方により特別に区分されます。
無地彩色とも呼ばれるように、顔料と膠を練り上げる工程は彩色と変わりません。紋様や繧繝といった彩色技法がなく、単色に塗るため簡易技法と捉えがちですが、単色であるがゆえに環境の影響も受けやすく専門性が求められます。特に水銀朱を使用する朱塗は、顔料の特性や環境対策など専門知識と経験を要する難易度が高い技法です。
近年は急激な環境変化に伴い、天然材料の使用方法にも様々な対応が求められています。過去の経験に加え、研究機関との連携、地方特色への対応、施工後の点検などを含めた総合力が必要とされています。