丹塗

丹塗(たんぬり、にぬり)

丹塗の修復方法は、既存の丹を前鉋(まえがんな)などの工具を用い、木地を傷つけぬように手作業で掻き落とすところからはじまります。
その後、木部の割れなどに刻苧(こくそ)や埋木(うめき)などを用いて、平滑な下地を作り、均一にムラなく下塗・上塗と仕上げていきます。


使用する顔料は現代の塗料とは違い、伝統技法に則った鉛や鉄を主原料としているため、重たく混ざりにくいのが特徴です。そのため、一言で「均一にムラなく塗る」と言っても熟練の技を要します。塗料の混ざり具合で仕上がりが変わるため、力を込めて材料を練り上げます。


また、丹塗は歴史的に膠(にかわ)を接着剤として用いていましたが、戦後からは樹脂などの近代的な接着剤を使用することが流行った時期もあります。


膠は樹脂などよりも弱いですが、その分落としやすいため、将来的に繰り返される修理による建物への負担を抑えられます。


弊社では、膠に関する知識と扱いに最も精通している技術者が修理を担当し、各地の歴史的背景や土地柄が反映された独自の「丹」色が、訪れる方々の目に鮮やかに焼きつけられてゆくことを心がけ、作業にあたっております。