重要文化財

長國寺

ちょうこくじ

所在地:長野県長野市松代町松代1576-1長國寺境内

工事名称:真田信之霊屋宝殿及び表門保存修理工事

工期:2020年6月~2022年12月

漆塗 錺金具

長國寺は1547年(天文16年)、真田信之公の祖父にあたる幸隆が真田家の菩提寺として建立。信之公の松代転封に伴い現在の場所へ移転しました。初代藩主として松代を治めた名君、信之公の霊廟「宝殿」は明治の大火を免れた絢爛な佇まいで、その繁栄を彷彿とさせます。 今回の保存修理工事は、漆塗・彩色・錺金具工事を担当しました。 生漆(下地に使用)・精製漆ともに、国産漆100%を使用した黒漆塗の御霊屋は、極彩色で彩られた彫刻と水銀鍍金仕上げの錺金具で装飾した荘厳な造りです。 軒先が深いことで胴回りの紫外線を遮り、軒回りや彩色彫刻の劣化は比較的少ない状況でした。しかし、破風廻りや高欄・縁廻りは直射日光の影響を直に受け、木部まで傷んでいました。

漆塗は、直線を直線に・平面を平面に仕上げることが重要です。 数百本もある縁板の継ぎ目が真っすぐに整えられ歪みのない直線となるためには、熟練した技術が求められます。「下地をつけては研ぐ」を妥協なく繰り返し、漆を塗って仕上げる全ての工程がヘラと刷毛による手作業で整えられているのです。

彫刻彩色は在来工法による、膠を基材とした絵具で彩色を施し鮮やかに蘇りました。

錺金具は弊社工房にて、水銀鍍金仕上げ技法で修理。職方の技術が着実に向上しており、漆箔仕上げとはまた異なる色合いの仕上がりになっています。

詳細は【小西美術工藝社通信Vol.23】にも掲載しております。

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