重要文化財

旧寛永寺五重塔

きゅうかんえいじごじゅうのとう

所在地:東京都台東区上野公園地内

工事名称:旧寛永寺五重塔 改修工事

工期:2013年6月28日~2014年8月31日

漆塗 彩色 錺金具

「旧寛永寺五重塔」は、1631年(寛永8年)に建立され、1639年(寛永16年)に焼失、同年に再建されています。神仏分離に伴い1886年(明治19年)に寛永寺の所属となり、1958年(昭和33年)に東京都へ、現在は上野動物園内に所在します。

五重塔は初層から四層までは本瓦葺、五層のみが銅板葺となり、高さは地上から宝珠までが約36m。初層は高欄のない縁が廻り、中央部板唐戸、脇間連子窓(れんじまど)、四方の内法長押上に十二支の蟇股が置かれ、四隅の隅木下には龍の彫刻が施されています。

今回の工事は、設計監理・(公財)文化財建造物保存技術協会、施工を松井リフォーム(株)が請け負い、初層軒廻りから縁下廻りまで修理計画されました。 弊社は塗装工事、錺金具工事を担当しました。

旧塗装の掻き落としが進捗した段階で、木工事の修理も施され、同時に採取された塗膜の科学的分析や目視調査などにより、丹塗、弁柄塗などの仕様も推測され、今回の仕様を検討しました。次回修理時に五重塔全体の調査検討を実施することを条件に、一部当初の漆塗から漆下地を施さない「打付け(ぶっつけ)塗」で施工しました。
また、蟇股(かえるまた)、隅木下龍(すみぎくだりりゅう)などの彫刻類は既存を記録後、見取図を作成し在来工法にて彩色を新たに施し、六葉・唄などの釘隠し金具・扉の八双金具も記録後一旦取り外し、金箔押(漆箔)をし直しました。

限られた工期の中、現場責任者と協力業者とのチームワークにより、品質を確保し無事に竣工を迎えました。

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