国宝

歓喜院

かんぎいん

所在地:埼玉県熊谷市妻沼1511

工事名称:歓喜院聖天堂(かんぎいんしょうでんどう) 保存修理工事

工期:2004年9月~2010年9月

漆塗 丹塗 彩色 錺金具 チャン塗 密陀彩色 唐木摺り 胡粉摺り 単色塗 剥落止め

歓喜院聖天堂は埼玉県北部、熊谷市に鎮座する妻沼聖天山のご本堂です。約830年前に建てられたとされ、現在の建物は1760年(宝暦10年)に建立されました。権現造のこの建物は奥殿から中殿にかけ一部の隙もない、日光様式の彫刻と加飾が施されています。建立後、約260年にわたり美術的な維持・補修が行われないまま、今回の保存修理を迎えました。

この工事は2004年(平成16年)9月より着手し、当初3年間は痕跡調査・分析・検討を中心に行いました。そこから紐解かれたのは、聖天堂が日光様式の漆塗・彩色技法をひとつに凝縮した、まさに宝箱のような建造物であること。多種多様な技法が解明されたことに加え、「260年ぶりの化粧直し」がさらにこの工事の難易度を上げました。

漆塗は、木地が風化して凹凸の著しい彫刻や連続文様を、当初のように滑らかな面に再現する必要があります。そのため、耳かきのような道具を用いて何日も同じ彫刻と向き合いました。また、建造物では珍しい黄色や緑が、黒・朱・赤(弁柄)・うるみ・金に合わせて施されており、ケガキやボカシといった彩色的な技法も用いられています。

彩色は、現状の顔料を残した上に和紙張りを行う、新しい技法で復原しました。将来、和紙は剥離できるため当初の痕跡が保存可能です。

錺金具では、過去の屋根替えで取り外されたままの物を、当初の通り復原しました。
通常は非常に目立つ錺金具が、その他の加飾と調和して建物の華麗さを表現しています。

6年間と長きにわたって、この建物に携わり社員一同更なる経験と自信になりました。

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