漆塗

漆塗

漆塗は、主に1)建造物の外部、2)建造物の内部、3)工芸品、の三つの技術に分けられます。
全て一様の技術で対応することは難しく、それぞれ求められる技術が異なります。


1)建造物外部は、季節によって変動する環境下で塗るため、漆を硬化させる熟練した技術が必要です。さらに外部は、紫外線により漆成分が分解され、雨水等でその成分が流されて塗膜(とまく)が劣化することから、この紫外線の曝露に備えなければなりません。そのため、難しい環境条件の中で、耐久性を重視する極めて特殊な技術が求められます。


2)建造物内部は外部より比較的安定した環境下で塗りますが、仕上げの美しさを追及したより高い技術が必要になります。


3)工芸品は手元で鑑賞するため、繊細な技巧が特に求められます。


一般的な色漆(いろうるし)(黒漆・弁柄(べんがら)漆・朱漆など)の工程は、「素地調整(そじちょうせい)」「下地付け」「中塗」「上塗」に大別され、順に進められ仕様によってその工程は30以上にもなります。装飾的なものはさらに、螺鈿や蒔絵などで加飾されます。


漆独特のしっとりと塗り上げられた美しい塗膜の下には、幾重にもわたる地道な作業と、天然樹脂ならではの気候条件との闘いが隠されているのです。


弊社は各分野(建造物内・外、工芸品)で豊富な漆塗実績を誇ります。


特に文化財建造物外部全体が漆塗された施工物件は、その大半が関東と東北地方に集中していることもあり、日光を起源とする弊社はこの特殊な技術を300余年に渡り脈々と受け継いで参りました。