古くから永遠性の象徴とされ、非日常や権威の表現として装飾に用いられてきた「金」。
中でも金箔は、物に金属的な質感を与え、重厚感を演出します。
部材の縁や金具など、部分的に用いられた場合には、
遠目では曖昧になってしまう建造物の構造を明らかにする効果を、
背景一面に押された場合には、上に描かれた題材を
厳かに引き立てる役目を果たします。
漆を接着面に配る
余分な漆を除く
箔を押し、余材を払う
真綿で定着させる
金の印象は箔の下に塗られた色次第で変わってきます。朱の漆は温もり、黒の漆は潔さを匂わせます。これは、0.2μ(約0.0001~0.0002m/m)という箔の薄さと金箔の特性によるもので、色調だけでなく、それまでの仕事の出来栄えさえも、この0.2μを通して窺い知ることができるのです。文化財の修理では漆を接着剤として用いる「漆箔押」の技法が多く用いられ、漆下地を施して塗り上げた後の平滑な表面に漆を摺り、箔箸で丁寧に金箔を配ってから、真綿で押し(貼り)金箔を定着させます。柔らかい刷毛で余分な金箔を払い落し、完成となりますが、薄い箔を破かぬよう、ここに至るまでの過程を損ねぬよう、一枚一枚を整然と並べ配していくのは熟練の技を要します。
小西美術工藝社では、金箔修理、金箔施工を手掛ける専門チームを設け、作業にあたっております。また、金箔や漆に限らず、各種箔押技法も行っております。