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チャン塗・密陀彩色

唐木(からき)とは紫檀や黒檀など東南アジア熱帯地域等に産する銘木を指します。
遣唐使の頃に大陸から多く輸入されたことから「唐木」と呼ばれ、正倉院宝物にも当時の唐木細工が収蔵されています。
当時は輸入品で希少性が高く、その憧れから国産の欅などに加工を施して「唐木」に見せる手法「唐木色付け」が誕生したと想像出来ます。


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    木部表面に柿渋を塗る

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    練った胡粉を唐木摺りをした木部に摺りこむ

その加工方法は、いわゆる「お歯黒」と原理を同じくし、硫酸鉄や酢酸第一鉄が五倍子粉(ふしこ)や柿渋などのタンニン酸と結合して黒くなる作用を利用し、木材を着色(染色)します。

大まかな作業工程は、まず木材に柿渋を塗り、乾燥させ、その上に酢酸液や醸造酢に鉄を入れて作った鉄漿液を希釈して鉄奬水溶液とし、何回か塗布して褐色に反応させます。柿渋、鉄漿水溶液の濃度や塗り重ねる回数を変える事で染める濃淡を調節したり、予め木材に下色を着色しておく事で染め上がりの色に変化をつけたりする事が出来ます。

以上が唐木色付けの概略ですが、ここでは文化財建造物において唐木色付け加工の後に施される事のある「胡粉摺り」についても併せて説明いたします。

「胡粉摺り」とは読んで字の如く、膠水や水で練った胡粉を木部に摺り込んだ後、余分な胡粉を拭き取る事で木の目や彫刻の凹凸を際立たせる方法です。凹部は白く凸部は拭き取る事で唐木色付による発色を強調させるなど、美的効果が向上するような工夫をします。

日光東照宮の陽明門、唐門の柱や貫(ぬき)等、現在は胡粉で白く塗られていますが、当初は「唐木色付けに胡粉摺り」であったということも言われています。その真偽や時期の究明は専門家の方々による更なる研究が待たれるところですが、「胡桃文」形の浮き彫りが施された陽明門の柱が唐木色付けで着色され、凹凸が胡粉摺りで強調されることにより、彫刻文様が浮き上がらせる様を想像すると、今とはまた違った趣を感じさせてくれる事でしょう。これは飽くまで想像に過ぎませんが、このことを具体的に見せてくれる事例建築として、弊社が修理に携わりました埼玉県熊谷市妻沼の歓喜院聖天堂があり、奥殿の丸柱と繋ぎ虹梁に確認することができます。

唐木色付けは経年劣化による褪色で、通常痕跡として残り難いのですが、幸いにして歓喜院聖天堂は270年余りの間手を加えられる事無く、取り外した彫刻の陰に当初の痕跡が確認され、「唐木摺り 胡粉摺り」※を再現することが出来ました。

丸柱は胡桃文形の、繋ぎ虹梁には菊花流水の浮き彫りがされ、胡粉摺りによってその彫りが遠目にも強調されています。

※歓喜院聖天堂の保存修理では、「唐木摺り 胡粉摺り」とされています。

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