元来、部材と部材を繋ぐ機能性をもちながら、
歴史の中でより高度な造形性が付加され、
また建物の各所に鏤められることで
視覚的にもリズムを与え構造を特徴づける―。
そのような役割を果たす金物を総じて「錺金具」と言います。
「錺」とは漢字の構成法に倣って作られた国字で、
金具を芳しいほどに飾ること、
つまり、金具で装飾をすることを意味します。
蹴彫り
蹴彫り
調整
完成(取付後)
一枚の金属の板材は、槌で叩くことで膨らみが加わり、職人の手の中で自在に変容を遂げていきます。そこに、鏨を用いて文様を一つ一つ、彫り刻んでいき、金具が完成します。鏨を打つ力加減の変化や、打つ際のリズムの乱れは顕著にその出来栄えに表れてしまうため、集中力・経験・技術、全てを投じて何枚もの金具の調製にあたります。我々は多くの神社仏閣をはじめとした文化財の修理に関わり、そこで先人達から連綿と受け継がれた伝統技術や素晴らしさを学びます。そういったものを糧に、取外しから、鍛金、彫金仕上、取付まで、弊社では一貫して自社の錺師が作業を担当しております。分業が中心のこの世界で、非常に稀有な存在であります。